幽霊王子は忘却の彼方

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そういえば、ハルさんと高木くんってどういう知り合いなんだろう。 洗濯物を洗濯機に入れながらふと過る、今更な疑問。 それもまた火曜日に、といいたいところだが、そんな一度に聞ける気がしない。 意気地のない自分に心底呆れながら、洗濯部屋を出て、お母さんのお手伝いをすべくリビングへ向かう。 『ちゃんと答えなさい!』 えっ…。 ドアの前で、思わず足踏みしてしまう。 外でもはっきりと聞こえる、奥様の責め立てる声。 誰に対して…? 『なんでそんな大切なこと…って待ちなさい!』 突然響いてくる、走り音。 逃げる暇もなく、勢い良く開いた扉から出てきたのは、泣きそうな顔をしている大志くんだ。 私を見るなり、唇をぎゅっと噛み締めて、手を握ってきて。 「雫、もうすぐだからなっ」 「え?」 「もうすぐ幸せになるからなっ」 「えっ、それってどういう」 「大志っ!」 追いかけてきた奥様から逃げるように、すばやく階段を上がっていってしまった。 幸せになる、って…なにが? 宙ぶらりんの離された手を見つめながら、置いてけぼりをくらった頭で必死に考えようとした。
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