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彼女は何故か咄嗟に背中を向けたけれど、見間違うはずなんかない。
この二人が繋がってたなんて、誰が想像出来たのだろう。
驚かせられたが、会いたかった恩人の二人に一度に会えた嬉しさの方が大きくて。
慌てて駆け寄ったのに、永重さんは心なしか罰が悪そうな顔をしている。
声をかけるべきではなかったのかと思案していたら、永重さんはそれらを拭払するように微笑みかけてくれた。
「雫ちゃん、久しぶりね」
「本当にお久しぶりです。あの、そちらの方って…」
振り返ったお姉さんは、一瞬、助けを求めるように永重さんをチラッと見た気がして。
その不自然な行動に違和感を覚えていたが。
「ああ!あなた!あの時の子じゃない!」
…思い出せなかっただけのようだ。
「あの時はすいませんでした。助けてもらったのにお礼言えなくて…」
「い、いいのよいいのよ!気にしないで、当然のことをしたまでだから!はははっ…」
どことなくよそよそしい彼女は、白い歯を覗かせて気持ちいいくらいの笑顔を見せてくれた。
ポニーテールで、長袖に下はスウェットというなんともラフな格好はあたかも家から出てきたと言わんばかりだ。
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