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「あんた、"それ"、蜂にでも刺されたの?」
「ははは…」
唇をひくつかせた有ちゃんと共に、体育館へ向かっている、のだが。
"それ"とは、腫れに腫れ上がった、無残な両目だ。
実は昨日、家に帰ってからも号泣だった。
もちろんお母さんに心配されたが、ゆっちんの優しさが、などと意味の分からないことを延々と言っていた。
そして泣き過ぎて寝不足になり、今朝から朦朧としているとまではいかないが、頭はかなり重たい。
我ながら、本当に情けない…。
「何があったの」
「昨日ね、ゆっちんと会ったの。それで…まぁ、その色々話してくれて…」
「あの子、友達想いだもんね」
ああ…。
思い出したら、また泣きそう。
「涙も引っ込むような話、してあげようか?」
「え?なに?」
「あんたが帰った後、年上彼氏がいるって出っ歯達が騒いでたわよ」
「はっ?!」
「泣いて抱きついてたんでしょ?そのあと高木が具合が悪いから早退したって言うもんだから、みんな介抱してくれたって勘違いしてんの」
「そんな事してないよっ!」
そもそもハルさんは彼氏じゃないし、抱きついてなんかない!
後ろから支えてくれただけなのに、なんでそんな話が飛躍してるの?!
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