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何度も顔を洗ってたら、遅刻ギリギリだった。
それでも、逃げたくはなかった。
それでこそ、彼女達の思惑通りになると思った。
有ちゃんは驚いた表情を浮かべていたが、何も聞かず、ただ頭を撫でてくれて。
その優しさにまた涙を戻しそうになった側から、追い打ちをかけるように今日の授業は、バレーボールだと先生に告げられた。
元から重たかった頭に拍車をかけてしまい、ただでさえ運動の苦手な私に球技など拷問以外の何物でもない。
ドンッ!
「緒沢さんー、お願いだからそれくらい取ってよー」
「こんなんじゃ、負けるしー」
神様は、どこまでも意地悪だ。
先生が勝手に決めたチームは有ちゃんと離れ離れになってしまった。
そして今、私に野次を投げるのは同じチームの稲田さんと小宮山さん。
叩きつけるように落ちてきたボールは、あともうちょっとで顔に当たるところだったのに。
それをどう取れと言うのだろう。
アタッカーは先ほどトイレにいた目つきの怖い子。
多分…グルだ。
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