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こんなことになるくらいなら休んでおけばよかったと後悔しても、時すでに遅し。
サーブされたボールを手際よく向こうにあげる小宮山さん。
敵チームのセッターによる綺麗なトスで、またしてもボールは、その子のところへ。
バンッ! と、かなり痛々しい音と共に打たれたスパイクは、やっぱり私に目掛けて。
逃げなきゃって思った、のに。
…見つけてしまった。
いつから居たなんて、全く気にする余裕もなかった。
まるでずっとこちらを見ていたみたいに、…目が、合ってしまった。
正面の、敵チームの後ろの壁にもたれて休憩する男子の中の、奏人くん。
真っ直ぐ、射抜くような眼差しに、身体が捕らわれる。
一瞬のことなのに、全てがスローモーションに見えて。
急に顔が険しくなった彼が、おもむろに形の良い唇を動かした。
「しずっ!!!」
…耳を疑った、次の瞬間。
ドンッ!
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