儚き恋が終わるとき

8/19
前へ
/19ページ
次へ
こんなことになるくらいなら休んでおけばよかったと後悔しても、時すでに遅し。 サーブされたボールを手際よく向こうにあげる小宮山さん。 敵チームのセッターによる綺麗なトスで、またしてもボールは、その子のところへ。 バンッ! と、かなり痛々しい音と共に打たれたスパイクは、やっぱり私に目掛けて。 逃げなきゃって思った、のに。 …見つけてしまった。 いつから居たなんて、全く気にする余裕もなかった。 まるでずっとこちらを見ていたみたいに、…目が、合ってしまった。 正面の、敵チームの後ろの壁にもたれて休憩する男子の中の、奏人くん。 真っ直ぐ、射抜くような眼差しに、身体が捕らわれる。 一瞬のことなのに、全てがスローモーションに見えて。 急に顔が険しくなった彼が、おもむろに形の良い唇を動かした。 「しずっ!!!」 …耳を疑った、次の瞬間。 ドンッ!
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加