揺蕩う、光と闇-2

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それなのに。 何がどうなって、こんな事になったのか。 どこから、歯車が狂い出したというのか。 「やらかし過ぎだろ」 職員室前で待っていた亮介は、ため息交じりにそう言った。 それもそのはず。 今の今まで、担任と顧問に散々っぱら説教をうけていたのだから。 理由は長谷にボールを故意にぶつけたこと。 反省なんて、一ミリたりともしてない。 むしろ全然、足りないほどだった。 「どうすんだよ、明日には広ま…って、どうしたんだ…?」 どうしたんだろう。 本当に、どうしたんだろう。 「…お前…」 それ以上は、言わないでほしい。 振り絞ったか弱い声が、脳裏に刻み込んでしまった。 腕の中に閉じ込めた感触が、胸奥を蝕んでならない。 目眩を覚えるあの甘い香りが、忘れられない。 『…あ、ありが…と…』 切れ切れながらに紡がれた言の葉に、どれだけ胸を締め付けられたら良いのか。 出来ることなら、もっと、もっと、抱き締めたかったのに。 「なんで泣いてんだよ…」 …恐らく、それは。 彼女しか好きになれない自身を恨んで。 負い目で応えられなかったことを嘆く他ないから。
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