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『俺が好きって、本気で…?』
どれほどもがき苦しんでも手に入らないと痛感した。
それでもずっと、恋い焦がれてた。
その女の子が、俺を嫌っていたはずのしずが、だなんて。
俺にとっては、それほど夢のまた夢の話だった。
しかし、何も知らない彼女は。
『…ごめっ…』
何もかも、自分のせいにして。
いつもそうやって、謝ってきたのを知ってるからこそ。
『…私、なんかが…ほんとごめ…、っ?!』
『…そんなこと思ってないから!俺は』
無下にしないで欲しかった。
自分が思っている以上に、尊い存在なんだってこと。
何年も前から、ずっとずっと、追い続けて来て。
今でも引いてしまうくらいに想ってるんだよと。
喉まで出かかった気持ちを砕け散らせたのは、あの夕日に染まるグラウンドの光景。
力なく佇んでいる、土のついたユニフォーム。
引き留めておきたいとばかりに見つめる、憂いを帯びた瞳。
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