揺蕩う、光と闇-2

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今、この幸せを掴んでしまったならば。 無表情は、どうなるのだろう。 付き合ってないのならば、しずはきっと未だに何も知らない。 俺のせいであの時、伝えず終いの無表情の想いは。 報われることなく、無きものと扱われている彼の想いは。 今までの自分と同じように、漫然と彷徨い、延々と漂うしか道はない。 それが、如何な苦悶を虐げられるのか。 それが、どれほどの虚脱を味わうのか。 "同志"の奴を踏み台にして得たこの結果を、手にすることはできなかった。 『…ごめん……応え、られない』 そんな返答に、しずは消えそうな声でお礼を言った。 シャツの鎖骨あたりに浸透していたはずの彼女の温もりは、空気の中へと溶けていって。 想いが通じ合うという一世に一度の奇跡は、浸る間もなく砕け散った。 好きとか、もうそんな次元じゃない。 気づけば人生を賭けてしまうほど、のめり込んでしまっていた。 今までも、これからも。 彼女でしか世界を回せない。 それでもなお、選べないことが。 俺が支払うべき、真の代償だったのだと思う。
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