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「どういうこと?!」
今にも取って喰らう気迫に苦笑しそうになる。
自分でも驚くほど、"嫌悪"しか生じない。
次の日、学年中に噂が広まっていた。
しずが俺を横取りをした、という身も蓋もない内容。
朝一から野次馬達に、問い詰められたり、責められたけれど。
内気なしずが、今回のことを機に益々嫌がらせをされるのではないかと気が気ではなかった。
彼女の立場が悪くなるのは、容易に察することができた話。
それを感情を抑制できずに行動に移してしまった自分のせいで、彼女を更に苦しめている。
亮介には、気にするなと慰められたけれど。
俺はしずにとって、疫病神なのかもしれないと本気で疑った。
そして悲劇のヒロインと化した美咲はもちろん黙ってるはずもなく。
昼休み、不穏なオーラを身に纏いやって来たのは丁度良かったのか、どうなのか。
しずのことを考えると、もう少し先延ばしにした方が良いと思案していた。
しかし二人になるや否や声を荒立てた彼女は、俺の中の残り僅かとなった微々たる"情"すらも木っ端微塵に打ち砕いてしまった。
「雫が好きって何っ?!」
「…知らない」
否定はしたくない。
しかし肯定するのも、しずに危害が行きそうで躊躇ってしまう。
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