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「知らないって、皆そう言ってるんだよ?!なんで?!一体どういうこと?!」
…やっぱり、無理だ。
頑張ってみようと一度意気込んでみたけれど、限界に達してしまったらしい。
「お前さ、今までどれだけ嘘ついてきたか、自覚してる?」
「え…?」
いつもと違うであろう俺の態度に、異変を感じたのか。
初めてお前呼ばわりされた美咲は、途端に怯み、瞬きを繰り返す。
「まず宿題。お前が作ったんじゃないよな?」
「あたしだし…!」
図星をつかれるはずがないと思っていただけに、動揺を隠せないみたいで、分かりやすいくらいに顔が強張った。
「なんでお前じゃないか、分かる?」
「だからあたし」
「見舞いに来てたの、緒沢さんだって知ってるから」
「…!?」
瞳孔が開いて、そのまま硬直した美咲の顔から血色がみるみる内に消えていく。
しかし、これはまだ序の口。
「家族ぐるみで嘘ついてんの、俺の親が知ったらどう思うんだろうな」
退院した病室で泣いてくれていたということは、入院中、俺のことを嫌ってはなかった。
付き合ってることを本当に勘違いしていたにしろ。
人生を半分以上狂わせてくれたその嘘だけは、絶対に、死んでも許さない。
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