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美咲もまた被害者だったのではないか、と思ったりする。
嫌いなしずへの報われない想いを、好きな男に勝手に照らし合わされて。
自分を慰める度に、それに気付かない美咲は優しさだと捉えて期待を膨らませる。
申し訳ない気持ちがないといえば、嘘になる。
でも、謝るつもりは毛頭ない。
初めて出来た"彼女"を俺なりに大切にしていたつもりだったからこそ、裏切られたような気がしてならなかった。
承諾した自分が先に偽り、身勝手に振り回したというのに。
「最低だなぁ…」
呆れて返っていたが故の、呟きだったのかもしれない。
それでも乗っかかっていた肩の重荷が半分取り払われたみたいだった。
…こんなにも呆気なく終わるんだ。
懦弱な自身と対峙して、病的な執拗さを再実感させられただけの、二ヶ月に及ぶ遠回りは。
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