揺蕩う、光と闇-2

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掴んだ手首の細さに、ぐらりと揺さぶられて。 …止められなかった。 止められるはずがなかった。 強引に口付けてしまった唇は驚くほど柔らかくて。 今まで押し殺してたものが、躊躇うことなく溢れ出る。 …やっぱり、好きだ。 どうしようもないくらい、好きだ。 畏れも、恥も、後ろめたさすら感じずに。 ただもう、全てを打ち明けようと思った。 「…あのさ」 この7年間、たまらなく欲しいと、渇望し続けた。 だからあんな過ちを犯してしまって。 それでもしず以外、何も見えなかった。 「……い」 「え?」 掠れた吐息は、思考を遮って。 手首の小刻みな震えが掌から伝ってきた。 ゆっくりと顔を上げた彼女の意志の強い瞳に射抜かれて。 苦渋に満ちた表情が、意識を一気に現実へ連れ戻す。 とめどなく流れてゆく大粒の涙が、両頬に無数の筋を作り出していた。 …しまった。 と察知した、同時期に。 「嫌い…っ!」 絞り出したような声は、まるで剣のように心臓を貫いて。 俺の手を振り切って、走り去って行く彼女を引き止めるどころか、反応もできなかった。
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