声なき海姫と泡沫の想い

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「なんか…ごめんね」 「謝んな、…嬉しかったから」 二年もの歳月を経てもらった返事に、なんとも形容しがたいもどかしさを覚えた。 もう好きではないけれど、一抹の寂しさも拭えない。 うっすらとした陰りを感じながらも、どうこうしようとは思わない。 身を引きちぎられるような激しい痛みを伴う失恋もあれば。 こうしてほろ苦さを残してゆくものまであるのだと悟る、普段より少し大人びた自分がいた。 "世界は色で溢れてる" その言葉にとても救われたことを、私は伝えていない。 言うのはもう、今しかない。 「私ね、あのプレゼントにすごく励まされたの」 仄かに息づいていた淡い想いも、次第に薄らいでいく。 密かに感じていたわだかまりも、とっかかりも、徐々に消えてゆく。 「だから、ありがとう」 声にした途端、不思議なくらいに心が軽くなった気がした。 きっと自身の中で、綺麗にリセットできたのだと思う。 しかし晴れやかな気持ちに浸る私と相反して、たっちゃんの瞳が微かにぐらついて。 黙ったまま、射抜くような彼の眼差しにじりじりとした焦慮に駆られた。 「…それなら、良かった」
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