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「あん時は本当に悪い事したって思ってる。マジで反省したし 、だから、その…許してほしい」
ひどく申し訳なさそうにしていて、何度も頭を横に振ったけれど、声にできないもどかしさに襲われる。
おもむろに引かれた手から直に感じる体温が、心臓を大きく波打たせる。
でもこの感覚を私はずっと、求めてやまなかった。
「今はそんなピアノしかあげられないけど」
何故、知っているのだろう。
私がピアノに憧れていたことを。
お母さんでさえも知らないことを。
いつから、どうやって。
この人は、見破ってたのだろう。
「しずの欲しい物、全部あげられるくらいの大人になるから…」
今までの私を、自身を蔑み続けた自分を。
掬い救うように強く握る手が抱きしめてくれるように感じて。
言葉になんて、とてもじゃないけど、できなかった。
「その時まで、…待っててほしい」
枯れることのない涙が、感謝を伝うかのように頬に無数の筋を描く。
つんとした冷たい空気に交わるお日様の暖かさがとても気持ち良かった。
クリスマス色に染められた街並みは、独りで見たあの時と変わらない。
それなのに一層彩り豊かに映るのは、きっと、煌めく彼が隣に居てくれるから。
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