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可愛い、と口癖のように形容していたけれど。
彼女をそれで表現するには失礼だと感じるくらい。
くっきりとした二重に、ビー玉のような真っ黒な大きい瞳。
小さく高い鼻と、やや厚みのある桜色の唇。
雪を連想させられる肌の白さと、頬の健康的な赤み。
絹のように細く真っすぐな黒髪は胸元あたりまで伸びている。
…文句無しの、美少女だった。
テレビドラマでしか拝めないような、いや、ヘタなアイドルや女優よりよっぽど綺麗だ。
それほどの外見でいるにもかかわらず、人見知りなのだろうか。
彼女の自己紹介は、たったその一言だけだった。
しかしクラスの半分以上の男子の心を射抜くには十分過ぎるもので。
もちろん俺も例外ではなかった。
彼女は物静かでいながら、可憐な雰囲気を放っていた。
うつむき加減の儚げな表情に胸を締め付けられ、どんな風に笑うのかとたちまち込み上げる好奇心はホームルームが終わってもなお尾を帯びていた。
…この子が、俺の理想だ。
まるで運命の人に出会ったかのように。
何も知りえない会って数分の彼女に、完全に心を奪われていた。
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