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「そうよ。もちろんガレット先生みたいに街人に好かれてみんなの役に立つ魔法使いのように、私は「善い魔女」になりたいの。
今はまだ呪文も「おまじない」程度にしか勉強してないけど、魔女になるためにはそれだけじゃダメだわ。
たとえばお薬を作ることも大切な仕事だもん。森の薬草にも詳しくないとね。
だから私、ときどきこうやって森を散策しているのよ。
で、少し前に森で迷ってたウサギさんを助けたの。
名前はヘンリーさんといってね、見た目は白ウサギさん。でも人語を話して着ている服は上等だったわ。
執事としてお仕えしている魔法使いにお使い事を頼まれて隣街に来ていたんだけど、悪戯な精霊に迷子になっちゃう術をかけられて、気付いたらこの森を彷徨っていたんですって。
私が帰り道とか馬車の手配をしてあげるって言ったら、森に貴重な花が咲いていることを教えてくれたの。
それがナンリールカの花よ」
白ウサギ・ヘンリーの話によると、その花の蜜には身体を癒す不思議な力があるそうで……
「ナンリールカの蜜は栄養も良くて、癒しと安眠効果もあるそうなの。
あと香りもとても良くて、お風呂のお湯に混ぜると美肌効果もあるんですって。
ね、タフィ。もう判るでしょう?
私が森へ来た理由が」
「…そ、そんなもの使わなくても……
ろ、ロリーは肌が綺麗じゃないか」
癒しとか安眠が必要ならオレがいくらでも………
と言いかけて。
なんだか怒ったような顔になって立ち止まったロリーに、タフィは驚いて目を瞬いた。
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