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「もーーーっ!
ぜんっっぜん!判ってないのね、タフィってば!
花の蜜は私のためじゃなくて、ガレット先生への贈り物だよ。
今日がなんの日か忘れたの?」
「え……きょお???」
タフィはしばらく考えていたが、やがて あ!と気付いて言った。
「今日は先生の誕生日か」
「そうだよ、タフィ。
ダメじゃない、お世話になってるのに忘れるなんて。
私ね、今日ナンリールカの蜜を使ってガレット先生にケーキを作ろうと思うの。
タフィにも手伝ってもらいたいな。ふたりで頑張ってケーキ焼いて、ガレット先生をびっくりさせよう♪♪」
「ぁ…ああ」
怒った顔が一転、
ニコニコと、とびきりの笑顔を向けてきたロリーに、タフィはホッとしながら頷いた。
「もうすぐだよ、ナンリールカの花は。
もう後ろなんて気にしなくていいから、手を繋いで歩こうよ」
「う、うん……」
伸ばされたロリーの手がタフィの手にそっと触れて。
ドキドキしながら一緒に歩く………
けれどなんだかタフィの胸の中は、ほんの少しザワザワしていた。
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