群青2 モノクロ第10話

「……あ、あの」

後部座席からか細い声が聞こえる。

「…あの～」

聞こえないフリをして運転を続けていると、先程より少し大きな声で話しかけられた。

「……」

眉を八の字に下げて困った表情をする彼女。振り返らずともその様子は手に取るように分かる。

「あの……」

聞こえる声は変わらずおどおどして弱々しい。