68人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
首を傾げているとおもむろに私の耳元に顔を近付け、囁いてきた。
「……………………」
その言葉に一瞬思考回路は停止。そして、
「……!!」
全身が煮えたぎるように熱くなった。当然のごとく、身体は硬直。そんな私などお構いなしに、
「それじゃ。また新学期に会おうね、センセ」
小悪魔のような笑みを振り撒いて、先に行ってしまった生徒達を追いかけ小走りで去っていった。
薄明かりの夜道で助かった。真っ赤になった顔が見られずに済むから。
私を瞬間沸騰させたのは、『浴衣、とても似合ってます』という破壊力満点の言葉。
進展の有無なんかどうでもいい。浴衣姿に触れてもらえただけで充分。
迷ったけど着てきて良かった。人生最高に素晴らしい日となった、今年の夏。
最初のコメントを投稿しよう!