恋の花火は終わらない

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 首を傾げているとおもむろに私の耳元に顔を近付け、囁いてきた。 「……………………」  その言葉に一瞬思考回路は停止。そして、 「……!!」  全身が煮えたぎるように熱くなった。当然のごとく、身体は硬直。そんな私などお構いなしに、 「それじゃ。また新学期に会おうね、センセ」  小悪魔のような笑みを振り撒いて、先に行ってしまった生徒達を追いかけ小走りで去っていった。  薄明かりの夜道で助かった。真っ赤になった顔が見られずに済むから。  私を瞬間沸騰させたのは、『浴衣、とても似合ってます』という破壊力満点の言葉。  進展の有無なんかどうでもいい。浴衣姿に触れてもらえただけで充分。  迷ったけど着てきて良かった。人生最高に素晴らしい日となった、今年の夏。
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