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「いやー変わんないねえ」
「なにが?」
「君のその、ちょっと冗談が通じなくて、真面目なトコロ」
「悪かったね、堅物で」
「違うよ、褒めているの。私は君のそういうトコロが好きだなあって」
「……そう」
ほんのりと自分の頬が熱くなるのを感じながら、石畳に目線を落とす。今の僕の顔を彼女に見られたくはなかった。夕日のせいにしてもきっと誤魔化しきれないくらい、僕の頬は赤く染まっているだろうから。
それっきり何も言わなくなった僕の様子に、彼女は息を吐くように笑った。その小さな笑みに気づけるのは、僕が彼女の真後ろを歩いていたからだ。
反撃とばかりに僕は彼女への想いをぶつけてみる。これくらいは許されるかなと思いながら。
「君も、変わってないね」
「えー、そうかなあ?」
「君はいろんな笑い方ができる。君がいつも笑ってくれるから、僕はそれだけで救われていたんだ」
「……へえ」
今度は彼女が黙る番だった。僕の口元が自然と弧を描く。
彼女のようにきれいに笑えている自信はないけれど、それでもこんなふうに僕が笑えるようになったのは紛れもなく彼女のおかげだった。
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