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「良く判ったね、セルナ君。」
「やっぱり・・・・そうじゃないかって思ってたんだ。」
マログ湖って腰痛などの慢性化した痛みに効く冷泉の湖だ。
湖の効能を体に溜め込んだ魔物が生息しているんだけど中も見透せない酷く濃い赤茶けた色の湖でさ。
それなのに有益な魔物の育ちきってない幼体は生きたまま湖に戻さないとならない決まりになってるんだ。
そこで一旦、網で陸に水揚げして仕分ける面倒な作業をしないとダメなんだ。
網を使っても空振る場合も多いらしくてさ。
そんな面倒な部分を1日中、水の中で息継ぎが可能で、しかも濁った水の中でも見透しが良くなる【濃縮エ-ラ】が有ればって事になるもんな。
開発者がグロ-ル市の魔法薬店店主なんだから然もありなんってもんだ。
俺が納得した所でカウンターの上には色取り取りの魔法薬が並んでいた。
「こちらが目録です。」
そう言ってレンドに渡した冊子を俺も見せて貰った。
魔法薬の絵と効能が書かれていて、とても解り易い。
俺も幾つか購入したくなっちゃった。
俺は魔法を剣に這わせて使えるけど麻痺薬とかを予め塗っておいて使うと魔物退治も楽だよな。
元々アジットさんの魔法薬は時間が経つと効能が消えるタイプが主流だから肉食用の魔物にも使えるしね。
それと変装にも有効な魔法薬も多い。
顔色を変える物は本人自らが使っているしさ。
まあ、俺は顔色まで変えたいと思っちゃいないけど髪の色を変えてみたいよね。
俺が変装用の魔法薬の前で購入するか悩んでいると姫殿下が、
「レンド大叔父。
私もコレを購入したいですわ。」
とオネダリを始めた。
「コレかい?」
「ええ。
町に出掛ける時に便利そうですわ。
後、目の色を変える物もです。」
あっそれ、俺も欲しい。
「そうだな・・・・。
店主、コレとコレとコレも購入しよう。
それぞれ10本ずつだ。」
レンドが太っ腹な大人買いをし出したので在庫が無くなっちゃうと慌てた俺も、
「あっ、俺もコレとコレが欲しいです。
1本ずつで。」
と声を上げた。
それを見ていたアンカも、
「私も購入するかな。
セルナと同じ物を1本ずつ御願いする。」
と言い出し、店先に置いてある物だけじゃ足りないので急いでアジットさんは店の奥に向かった。
良い買い物が出来た。
俺達はホクホクしながらアジットさんの店を出て護衛の女性兵や護衛騎士達と一緒に執行官邸に戻った。
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