好きなアイス

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ロッカールームで替えのTシャツに着替えて講義室へ 12時30分 食堂に移動し、昼食を買いに大学内コンビニに向かう 入るや否やアイスコーナーに直行 魔王城の宝箱を開ける如く、蓋を持ちあけた 冷気とともにそこには無数のアイスたち 中でも目を引くのが一つのアイスをパキンッとふたつに分けることができるソーダ味アイス 運よく一つだけ残っており、高ぶる感情を抑えつつ、それに手を伸ばす 「あ……」 反対側から聞こえる短い言葉 同時にアイスに触れる手 思わずその声の発生源に顔を向ける 瞬間、体の中から体温が上昇するのがわかる 「○○君」 天使こと○○ちゃん 色白、ゆるふわ清楚ちゃん 真夏でも色白は健在 「○○君もこのアイス好きなの?」 おもわず、ふるふると首を振り、どうぞどうぞと手振りで伝える 「え?でもこれ取ろうとしてたよね?」 困った顔をする○○ちゃん いたたまれない僕は慌ててその隣の“キムチアイスバー”をとる 「それが食べたかったの?チャレンジャーだねー」 こくりとうなずく 「じゃあもらうね?これ好きなんだ!」 レジへ歩いていく笑顔満点の彼女を目で追う これでよかったんだ、隣のレジで会計をすまし、外へ出る 窓際の一人用のいすテーブルに腰かけ、思いっきり“キムチアイスバー”の袋を引きちぎり、口元に運ぶ 「○○君」
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