あいつ

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 僕の作ってきた曲を聴いて、メンバーは何も言わなかった。ただ、一言 「次はこれでいこう」  と言っただけだった。  次のライブも、僕たちがいつも使うような小さなライブハウスだった。立見席しかないけど、席は満員で、チケットは完売だった。  その箱で、僕たちはあいつの曲を演奏した。力の限り歌った。持てる技量のすべてを使って演奏した。ほかのコピーの曲なんか、考えていなかった。今日は、これしかやる気はないのだと、お客さん全員に伝わるような歌い方だったと思う。  おまえはいつまでたっても変わらないな  あのときからずっとずっと変わらないな  僕はどうだろう  少し変わってしまったかも  歳をとったし 少し背も伸びた  あの頃は誰かに頭を下げるなんて想像もしてなかったけど  今じゃすいませんすいませんなんて頭を下げて  愛想笑いして でも内心じゃ今に見てろって思ってる  こんな今の僕見たら  お前はなんて言うかな  言いたいことはたくさんある気がするけど  どれもこれも言葉にできなくて  毎日変わってく世界を見ながら  変わらないお前に問いかけるんだ  君ならどうするって
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