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◇◇◇
森林から見える青空を仰ぎ見て山法師の八人はため息をついた。
「うむ、迷った。」
大男が網傘下で唸った。
「やっぱり迷ってたんかい!」
すかざずつっこんだこちらもガタイのいいおっさんだ。
「玉玄師(ギョクゲン)、春栄師(シュンエイ)。マジですかーあぁぁ」
と嘆くは一番年下の高哉(タカヤ)である。
「いつものことだから嘆くな。」と道行(ドウアン)が慰めにもならないような言葉をかけてくる。
この山法師の集団は玉玄と春栄の二人を師としている。
玉玄は辺りを見渡した。
「おかしいのぉ」
春栄も辺りを見渡しフムと呟いて右手に持った錫杖を打ち鳴らした。
シャランッ
「結界が張られておるの」
「そんなら、迷ったのはワシのせいじゃないのー」
いえ、いつも道迷ってますから!と弟子は心の中で叫んだ。
玉玄はよく迷う。迷うが結果的にはなぜか辿り着いている。
「お前ら、唱和行くぞ!」
春栄の硬い声で皆が錫杖をしっかりと持った。
「是!」
シャンシャンシャンシャン
山の中で幾つもの錫杖の音が鳴り響き渡る。続いて紡ぐは天狗経文。
『ノウマクサマンダダイズラダツダアルマヤテングスマンギソワカ』
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