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夜になってもヨリが戻って来ない。 サワとヒナは異常無しと告げてくれた。四方のヒモロギは一つケガレると次々とケガレていくのだ。 神殿の入口でコトは待っていた。 夜空には満点の星が煌めいている。 (いつもより…綺麗すぎるような) 「ムツキ!」 しばらくしてムツキが出てきた。 「お呼びですか?」 「星を読んでもらいたい。」 少しの異変も見逃したくはない。 「はい。わぁ今日は星がキレーですねぇ」 この社には七人の巫女がいるがそれぞれ能力は違う。 コトは拓宣。オリトは先見。ムツキは星読み。ヒナは浄化。サワは雨乞い。カヨは鎮女。ヨリは依代。 ムツキが手で星を指差しては首をかしげた。 「どうしました」 「ええっと、北から魔が入ってきて、東を攻めてます。で」 と、そこから後が続かない。 ムツキは腕を下ろした。 「わかるのは、ここまでです。申し訳ありません」 「いえ、ありがとう。」 「でも、星はすごくキレーなのに、キレーすぎてなんだか怖いですね。」 「…。そうね。」 「あ!ヨリ姉様!」 ムツキは六人の巫女に全て姉様と呼ぶ。 「遅くなって申し訳ありません。」 「大丈夫でしたか?」 ヨリはにっこりと笑って頷いた。 「東のヒモロギは大丈夫でしたわ。細かい所まで見てしまったので随分と時間がかかってしまいました。」 「無事で何よりです。さあ、中へ」 ムツキは再度夜空を見た。東にある星が赤く変じて輝いた。 ムツキは両手を胸に当てた。 (怖い…。なんでこんなにも不安なの?)
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