12/12
前へ
/66ページ
次へ
◇◇◇ 伊勢神宮最奥 御簾の内で車座になって神鏡を見つめるのは、三人の妙齢の巫女だ。白い着物に赤い袴。踝に届く長い髪を結わわず垂らしている。 「真緒、この神鏡を伊雑宮に収め置いてください」 「かしこまりました。」 先程、神迎えの儀を終えたばかりの神鏡である。銅鏡を中心として淡い光が立ち登っている。 「これで三度目の神鏡ですね」 一番年若の奈津が言った。 「こたびのはぬかりない」 康宮が微笑んだ。 「とうとう鹿島が動いたとか」 真緒の言葉に康宮は頷いた。 「まもなく、すべて動く。」 古来より始まった神と悪魔の戦い。 「伊勢があるからこそ神は勝つ。」 真緒と奈津は頷いた。 「ええ、ここの神域だけはケガレさせません!」
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加