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比叡山延暦寺。
堂内にて八人は僧正に報告した。
「いろいろと報告は受けとるが皆同じこと申す。」
僧正は皺皺だらけの顔をゆがませた。体は小柄で小さく一番の高齢だ。
「羽黒山、出羽山、鞍馬山、高野山からも似たようなことを聞いた。一番被害が多いのは箱根山、金時山、愛鷹山、龍爪山じゃ」
春栄が腰を浮かした。
「それは、」
「主もそう思うか」
「富士山周辺の山々ですよね」
春栄の言葉に皆が驚愕する。
「おい、ちと待てあそこには」
玉玄の言葉を僧正がつないだ
「三百年前にあそこに封じ込めたの、富士山の磐坐に。」
堂内が静まりかえる。
「今から、富士山に赴いてみます。」
しばらくの沈黙の後、玉玄が硬い声で言った。
「頼む。高野山からの報告だと、蛇枝衆が関わっておるそうじゃ。」
「!!」
「蛇枝衆は壊滅されたはずじゃぁ!」
「生き残りがおったようだ。」
蛇枝衆は邪教とされ糾弾され徹底的に排除された。
「では、護宮や護祠が壊されているのは…。」
「そうじゃ。そして、最近魔に憑かれ人間が多い。あちらこちらで寺社がケガレるわけよ。」
僧正は一同を見た。
「心してかかれ、この本山も尽力する。この国を魔のものにしてはならん」
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