夏の思い出

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シオンくんが手を少し引っ張るようにして、僕の泊まっている別荘の近くまで連れて行ってくれた。 「あ、あの赤い屋根だ♪」 「高そうな別荘だな…。なぁ、七ちゃんはいつまでここにいるんだ?」 「明後日までかな。お父さんが仕事に行かなきゃダメだから」 「そっか…。じゃあさ、明日は一緒に遊ぼうぜ♪じいちゃん家で漫画読んだり川に遊びに行こう!絶対楽しいから!」 「うん!何時頃にどこにいればいいの?」 「七ちゃんの別荘に迎えに行くから、十時半には外に出られるようにしてくれてたらいいから♪」 明日の約束と軽井沢で初めてできた友達に、胸がドキドキとワクワクで、今日の夜は眠れそうにないと思った。 「そんなこともあったな…。シオンくんは元気にしているだろうか?彼女は絶対作っているだろうな」 自然と笑みがこぼれると同時に、後ろから抱き締められる。 どう考えても志音しかいないのだが、どうやって入ったんだ? 「電話にも出ないし、メールも返信ないし、様子見にきて、ピンポン鳴らしたら、おばさんが入れてくれた」 「私は何も言ってないが?」 「聞きたそうな雰囲気が背中から伝わったからね♪」
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