夏の思い出

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「離せ、暑いだろう」 何と言うか、大型犬に甘えられている飼い主の気分だ。 そんなことを考えている私をよそに、志音は私が持っている写真を見て、そのまま固まっている。 「どうした?」 「これ…こっちの日焼けした子…小さい頃の俺なんだけど…」 「はぁ!?」 素っ頓狂な声を上げた私から離れて、私の隣りに座った志音が写真を取って、その裏側を見て頷く。 「やっぱり♪ちゃんと名前書いてあるじゃん♪」 「そんな…絶対違うと思っていたのに…。お前とは真逆の好青年だと思っていたのに…」 「真逆って…。だけどさ、俺と七っちはあの時にファーストキスしたってことだよね?」 「ファースト…キス…?」 「え!?まさか経験済み!?」 「初めてだ!」 私はどうあっても志音と関わる運命のようだ。 そう考えると私と志音は莎弥を介さずとも繋がりがあったのだと分かる。 写真を私に返して、志音は何かを企んでいそうな笑顔でこう言った。 「ファーストキスよりも気持ちいいキスしよ?」 「絶対しない」 こういうことだろうと予想はしていたから、こちらも最大級の笑顔で拒否しておいた。 「そういう悪いこと言う口はこうだ♪」
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