3人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
満員ではないが、座席は全部埋まっていた。
ヒールが高くて足首と踵が少し痛いが、体調が悪いワケでもないので、我慢して立っていようと思ったが、吊り革の不安定さで足元がふらつく。
「七っち、こっち」
志音が手を引いて、私の背をドアに押し付ける。
壁だったら、いわゆる壁ドンのような状態なのだろうか?
「志音…?」
「こっち側のドアは俺達が降りる駅までは開かないし、七っちのエロ可愛い格好で、思わず七っちをいやらしく触る男がいないとは限らないし?」
「お前がいやらしく触りそうに見えるが?」
「俺は彼氏だからいいんです!他の男はダメ」
「彼氏でも無理強いはダメだろう。お前まさか莎弥に無理強いしたことはないだろうな?」
「ないない!莎弥にはキスもそれ以上もないから!」
そうだろうなとは思う。
莎弥にそういうことをしていたら、それが分かった時点で殴って、莎弥に接近禁止にしているところだ。
「お前が莎弥を大事にしていたのは知っているが、私の大切な妹だからな」
あぁ、本当に私はズルいな。
莎弥を引き合いに出せば志音は私にも何もできなくなるのを私は知っているのに…。
「七っちは莎弥に嫉妬してる?」
最初のコメントを投稿しよう!