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「は?私が莎弥に嫉妬なんて!どうしてそういう方向に行くんだ?」
「何かさ、無理やり莎弥にこじつけてる割に、俺と一緒にいる時、もちろん今もだけど、顔赤くしてるのに、心配そうに俺の表情を見てる」
「なっ…!?」
「無意識だから気付いてないだろうけどさ、俺は今は一緒にいる七っちを見てるから心配いらないから♪」
そんなことを言われたら、大半の女子はドキドキするかもしれない。
私もドキドキしているから。
だけど、それを志音が言っているからかもしれない。
私がドキドキするのはおかしいと思う。
格好は女性っぽいが、中身はしっかり男でその自覚もある。
志音は私を心配して言ってくれてるだけなんだろうな。
彼女の兄で友人だから気を使ってくれているのかもしれないな…いい奴だ。
電車に乗ってから言うべきではないのは分かっているのに、どうしても言いたくて志音のシャツの裾を握って俯いて小さな声で伝える。
「帰りたい…もう帰りたい…」
「帰りたいの?七っちの服だけ買いたいんだけど、その間だけ我慢できる?」
「……我慢する」
ここで小さな子供のような駄々をこねるのもいけないと思って、すぐに帰れると自分に言い聞かせて納得させた。
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