揺れそうな心

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ショッピングモールの案内板で、レディースファッションのフロアを確かめて、いつも志音が私の女装用の服を買う店に行く。 「いらっしゃいませ。あら三苑くんじゃない?今日は美人の彼女つれてきたの?」 「七瀬っていうんだ。マジで可愛くてしっかり者で自慢の彼女♪」 「志お…」 早く帰りたい気持ちが一気に膨らむ。 志音が馴染みの店員さんと話しているだけなのに、何だか志音が知らない人みたいに見える。 それを察してくれたのだろうか、私の手をやっぱり強く握ってくれる。 志音の大きくて強く優しい手の温もりは私を落ち着かせるには充分すぎるものだった。 「頼んでたアレ、やっぱ難しいって?」 「さすがにドレスは専門店に行って採寸してもらった方が確実よ。採寸くらいはウチでもできるけど、カジュアルドレスは扱ってないしね。本格的なドレスは無理だし…」 「だよねぇ…」 「でも、ベールはもらってるからね♪」 「やった♪ありがとね♪」 「彼女にあげるの?」 「まぁね♪結婚式の真似事したかったんだよね♪将来の予約にもなるからさ♪」 結婚式? 将来の予約? その相手は…私!? いやいや待て。 他の女性にあげるが話をややこしくしない為に適当に合わせているのかもしれないな。
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