3人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
明らかに男とバレさせたいとしか思えない服のチョイスだ。
自分で望んで女装しているワケではないのに、男だとバレたら…一生『変態』のレッテルを貼られたまま生きることになる。
『どう?七(ナナ)っち、今日のデート服可愛いよね♪早く女の子の七っちが見たいな♪』
「男にしか見えない感じの服だが?」
『それを女の子っぽく見せるのは七っちの特技でしょ?』
「特技じゃない!莎弥(サヤ)を冒涜したくないからだ!お前だって分かっているだろ!?」
『マジにならないでよ。俺より七っちが莎弥の彼氏みたいじゃない?莎弥の彼氏としては複雑だなぁ~』
「志音(シオン)!私は莎弥の兄として大切な妹という気持ちなのを知っているはずだ!何でお前みたいな軽薄な男を好きになったんだ莎弥は…」
私の妹の『各務 莎弥(カガミ サヤ)』は去年の秋、交通事故で亡くなった。
運転手の前方不注意で即死だった。
どれだけ謝罪されても慰謝料をもらっても莎弥は生き返らない…その事実を改めて突きつけられて、私は心が壊れたのか涙は出なかった。
志音…『三苑 志音(ミソノ シオン)』は棺を壊しかねない勢いで泣いて、最後の最後まで棺にとりすがって泣き続け、参列者の涙を誘った。
最初のコメントを投稿しよう!