3人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
結局、シャワーを使わせてもらっただけで、気まずいままの空気が重たくて、女装して帰宅した。
部屋に戻って、さっさと下着も服も着替えてベッドに寝転ぶ。
自分の気持ちがぐちゃぐちゃになって、固めた決意も覚悟も何だったのか分からなくなってきた。
「もし莎弥がいたら何て言うんだろう?きっとズバズバ言って、最後には笑って背中を押してくれるんだろうな」
私は言いたいことを一度は飲み込むタイプだが、莎弥は言いたいことをすぐに言うタイプで、敵を作りやすかったが味方も多かった。
そんな莎弥の葬儀には、莎弥と対立していた子達もきて泣いて別れを惜しんでくれた。
敵も味方も莎弥という存在は魅力的だったのかもしれない。
莎弥のクラスメイトが教えてくれたが、莎弥と同じクラスの男子数人も密かに莎弥に想いを寄せていたが、莎弥の彼氏の志音がいた為、告白することなく諦めるしかなかったとか。
情けない、想いだけは伝えておけば後悔しなかったろうに。
聞くまで知らなかったが莎弥の好きなタイプは私と志音だったらしい。
志音は分かるが、何故私まで?
そんなに兄にべったりな妹ではなかったが…。
今でも覚えているのは、莎弥が志音と付き合う時に莎弥から告白したと聞いた時の衝撃だ。
最初のコメントを投稿しよう!