埋まらない傷

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てっきり志音から告白したと思っていたが、まさか莎弥の方からとは思わなかった。 まぁ、莎弥の性格からしたら、自分が好きと思った人と付き合いたいってタイプだからな。 でも、相手が志音で少し安心した。 志音は信頼の置ける奴だし、何より私の友人で、私が志音には何でも言えるようになったのも、志音が私の中で眠っていた気遣いをしないという部分を引っ張り出したこともあるからだ。 徐々に誘導せずに、初めて話した日にそれを見抜いていたような感じだった。 それだけ人をよく見ているのか、直感が優れているのか…とにかく志音は今でもよく分からない奴だと思う。 適当で軽薄なのに女子から人気が高いのは事実だ。 でも今の志音と付き合いたいと思う女子はいない。 みんな志音と莎弥の仲の良さと私が莎弥の兄だと知っているから遠慮しているんだろうな。 志音はともかく、私に遠慮する必要はない。 それに遠慮すると、本当に伝えられない時がきたら、じっと耐えるしかない。 そう、莎弥に想いを伝えられなかった男子達のように。 「ぐちゃぐちゃ考えても仕方ない。コンビニで何か買うかな…」 気晴らしに散歩と思ったが、まだまだ散歩するには暑すぎる。 それならコンビニで涼みながら立ち読みでもした方がいい。
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