埋まらない傷

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夏は女子や女性はスカートで涼しいだろうなと思ったが、そうでもないんだな。 生地の厚みや形状で、見た目にも気を遣わなければいけない。 それを難なく穿きこなすなんて女性の凄さを思い知る。 「暑い…!まさかこのまま夜まで暑いのか…」 夏は暑いと相場が決まっているとはいえ、これは暑すぎる。 熱中症で搬送される人がいるのも頷けるな…。 「お姉さん、どっか行くの?どっか行くならオレ達と一緒に遊びに行かない?」 急に目の前に二人の男性が出てきて私に声をかける。ナンパだな…。 しかし困ったな。 声を出すと男だとバレるし、無視して通りすぎるには、一旦距離を取らないと…。 「ちょっと無視しないでよ。別に怪しい人じゃないんだし」 充分怪しい。 隠しているのだろうが、明らかに挙動不審だ。 どう切り抜けようか困っていると、後ろから肩を抱き寄せられる。 一瞬固まったが、相手を見てホッとした。 「お兄さん方、この美人は俺の彼女なんだよね。ナンパしたい気持ちは分かるけど、こいつの気持ちを考えてこそイケメンだろ?下半身に忠実な男は嫌われて最悪警察だからね?」 志音の『モテる男理論』だ。 何だかよく分からない理論だが、ナンパ男達には効いているようだ。
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