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その莎弥をダシに使う私と志音は、優くんの心を見習わないといけないな。
こんなに純粋に莎弥を慕って…本当にいい子だな。
「その今年のお盆はお母さんの方のおばあちゃんの家に行かなきゃいけないので、莎弥お姉さんのお墓参りも兼ねて、こっちに遊びにきました。七瀬お兄さんは高校三年生だから、忙しいかなとは思ったんだけど…」
「大丈夫だよ。優くんは気を使わなくていいんだよ?むしろ私が気を使わなければいけないのに」
「七瀬お兄さん、いつの間に自分のことを「私」って言うようになったんですか?」
「あぁ、高校に入学してからだね。三年生になると面接も増えるから、普段から一人称を「私」にしておけば、咄嗟の時でも大丈夫かなと思ってね」
「凄い!僕も高校生になったら、七瀬お兄さんみたいに「私」って言うことにします!」
「いや、無理して使わなくても…」
そう言いながらも、優くんのまっすぐな気持ちが可愛らしくて、ついつい笑顔になってしまう。
「ん?優くん、悪いけど電話がかかってきたみたいだ」
「あ、じゃあ僕は伯母さんの所に行ってます」
「ごめんね」
優くんが部屋を出て階段の方へ足音が遠ざかってから電話に出る。
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