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ジリジリと照り付ける太陽の光と熱で、熱したフライパンのように熱いのではないかと思う道路を、重たいバッグを持った私だけ歩いている。
こんな暑さの中、よほどの用でもない限り、出歩こうとは思わないだろう。
一時間くらい歩けば熱中症で搬送されるというコースが決定しているような暑さだ。
さすがに熱中症で倒れるワケにはいかないから、帽子と家の近所の自販機でミネラルウォーターを買って、飲みながら歩く。
行儀が悪いが倒れるよりマシだ。
水を飲むと、砂漠で水が大切だというのも何だか分かるような気がする。
特に砂漠だと乾燥しているから、余計に身体が水分を欲するんだろうな…。
そんなことを考えているうちに、志音の家の前まできていたが、もう歩きたくなかった。
暑さと汗で肌に貼り付く服の気持ち悪さ、そして志音が迎えに出ろというわがまま。
「さ…七瀬!?早く家の中入って!」
「志音…?」
「窓から見えたから急いできてみてよかった。俺の肩に腕回して。歩ける?」
「あぁ…」
志音が私を「七瀬」と呼んでくれたことが嬉しくて、身体から力が抜けそうになったが、志音が支えてくれているのだからと思い、ゆっくりではあったが志音の部屋に向かう。
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