真夏の嵐

5/17

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
ジリジリと照り付ける太陽の光と熱で、熱したフライパンのように熱いのではないかと思う道路を、重たいバッグを持った私だけ歩いている。 こんな暑さの中、よほどの用でもない限り、出歩こうとは思わないだろう。 一時間くらい歩けば熱中症で搬送されるというコースが決定しているような暑さだ。 さすがに熱中症で倒れるワケにはいかないから、帽子と家の近所の自販機でミネラルウォーターを買って、飲みながら歩く。 行儀が悪いが倒れるよりマシだ。 水を飲むと、砂漠で水が大切だというのも何だか分かるような気がする。 特に砂漠だと乾燥しているから、余計に身体が水分を欲するんだろうな…。 そんなことを考えているうちに、志音の家の前まできていたが、もう歩きたくなかった。 暑さと汗で肌に貼り付く服の気持ち悪さ、そして志音が迎えに出ろというわがまま。 「さ…七瀬!?早く家の中入って!」 「志音…?」 「窓から見えたから急いできてみてよかった。俺の肩に腕回して。歩ける?」 「あぁ…」 志音が私を「七瀬」と呼んでくれたことが嬉しくて、身体から力が抜けそうになったが、志音が支えてくれているのだからと思い、ゆっくりではあったが志音の部屋に向かう。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加