始まり~現在

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「お前は私の妹で自分の彼女を馬鹿にしてるのか!?」 「ちょ、ちょっと待って!別に七瀬が忘れられないっていうのをからかってるワケじゃないんだって!二人とも莎弥を忘れられないから、兄妹なら恋人よりも近い繋がりと家族の無償の愛の強さがある。なら、七っちが莎弥になれるんじゃないかなってさ」 「家族だからとか兄妹だからとかで莎弥になれるワケないだろう。そもそも私と莎弥は性別も容姿も違いすぎるわ!」 「知ってるよ♪だから莎弥のコスプレしてもらうんだからさ♪七っちなら莎弥みたいに可愛くなれるから大丈夫大丈夫♪」 「可愛いとかそういうのを心配しているワケではないんだが?」 へらへら笑う志音に失望しかけたが、志音の目にうっすらと涙があるのを見ると、この珍妙な案を突っぱねるのも悪い気がした。 莎弥の死を受け入れても、簡単に忘れられない。 私はまだ受け入れることもできないのに、志音は悲しみを乗り越えて先に進もうと歩き出している。 私も歩き出せるだろうか? 「分かった。私達はまだ莎弥を忘れられない。けれど、いつかは乗り越える時がくる。それが自分で引き寄せられるなら、私が莎弥になりきるのも悪くない」
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