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志音の家で一泊した翌日は腰も無理をしなければ、日常的な動作に支障はないようなので、朝の涼しい時間に帰ることにした。
「ねぇ、もう一泊しない?」
「これ以上、お前の親に迷惑はかけられないだろう」
「気にしなくていいのに…。そうだ、忘れずに付けとかないと」
何を付けるのかと思った時には、志音が私の首筋や鎖骨の辺りを強く吸う。
痛くはないが、あの時のことを思い出しそうになって、ぐっとなる気持ちを抑える。
志音の唇が離れると何をしていたのか、ちょっとジト目で見やると、ドヤ顔で返された。
「キスマーク付けといた♪優くんへの牽制と七瀬への愛情を込めてね♪」
「またそういうことを言う…。すまないが、女装の服などはしばらく預かってもらうぞ」
「しっかり管理しとくから心配しないで♪」
手を振って見送る志音に何となく距離を感じて、志音の前まで戻って、そのまま抱き付くようにしてキスをする。
ちょっとだけ舌も絡ませて。
「七瀬?」
「何となく寂しかったから。特別視とかはいらない。ただ、もう少し…アレの後にくっついていたかったなと…」
唇を離してから言葉を紡ぐのは難しい。
キスに気持ちも言葉も込めてしまうから。
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