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「はぁ…疲れた…」
やっと優くんから解放されて、エアコンが効き始めた自室で、軽く伸びをしてベッドに倒れ込む。
布団の柔らかい肌触りがよくて、このまま寝てしまおうかと思ったが、せめて一度くらいは家族と食事をした方がいいかと思い、重くなりそうな瞼を開ける。
上着のポケットに入れておいたスマホを取り出して、志音にメールを送ろうと思ったが、特に伝えたいことがない…用がなくてメールというのもな。
「やっぱり電話の方がいいな。メールは苦手だ」
メールは可愛らしい絵文字やら記号を使っても、相手の表情が見えないから、少し疑わしく思ってしまったりする。
志音は気にしすぎと笑っていたが、やはり気になる。
「特に用がないのに電話しても迷惑だろうか…」
ベッドの上でゴロゴロ転がって電話をかけようかかけまいか悩む。
私からより、志音の方から電話をかけてくる頻度が圧倒的に多いから悩む…。
ただ何となく声が聞きたい。
疲れているのに、低くて少しダミ声は耳障りだと思うのに、時々甘くなる艶めいた声になる。
そんな志音の声が聞きたい。
そう思って胸がいっぱいになった時には、もうスマホを耳に当て、呼び出し音が鼓膜を揺らしていた。
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