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『もしもし七っち、何かあった?』
志音の声だ…。
どうしよう…安心して涙が…。
『七っち?』
「声…聞きたかった…。聞いたら…安心した…」
『泣くほど不安なら、そっち行こうか?』
「…いい。安心したから…。それに、さっきまでお前の家にいたんだし…」
『ん~、っていうか、俺が七瀬に逢いたいから、そっち行っていい?』
志音…私を気遣っている。
大丈夫だと伝えないと、志音に甘えたら、お互いどうしようもなくなる。
「いや、声を聞いて本当に安心したから大丈夫だ。気遣ってくれてありがとう、私が気をつけるべきなのに…」
『え?気遣いじゃなくて、本当に逢いたいんだけど?』
「私が泣いたから心配したからではないのか?」
『最初はそうだったけど、でも突き詰めたらさ、俺も七っちに逢いたいから言ってるんだよなぁって。俺だって七瀬ともっと一緒にいたいし、何度でも抱きたいって思ってるよ。一緒にいたら全部欲しくなるよ…好きな人ならさ…』
「志音…」
嬉しい言葉なのに複雑になる。
志音が本当は誰が好きか分からなくなった。
莎弥が好きなのか、女装して莎弥の振りをする七瀬か、それとも今の七瀬なのか…。
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