3人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
誰が好きなんだ?
それとも全員好きなのか?
訊けばハッキリするんだろうが、もし莎弥だったら?
もし女装して莎弥の振りをする七瀬だったら?
もし…全然知らない女性だったら?
私ではなかったら…耐えられない。
莎弥だったとしても、女装して莎弥の振りをする私だったとしても…耐えられない。
「お前が本当に好きなのが誰か分からない。色々考えていたら、とても怖くなった。だから…一人でいい。こんなに痛い思いをするなら…ずっと一人でいい」
答えはうやむやになって、胸のモヤモヤはしばらく続くかもしれない。
だけど、一人に慣れた頃には忘れているはずだ。
傷ついたら苦しいじゃないか…。
『……じゃあ、今部屋の窓開けて確かめてよ。七瀬の考える俺がどんな奴か』
「志お…!」
私の言葉を遮るようにして切られた電話と不思議な言葉。
仕方なく熱気が入るのを承知して窓を開けて外を眺める。
「ん?」
私の部屋の下の道路で、手をブンブン振っているのは志音!?
まさか、あの炎天下の中、ずっといたのか!?
急いで玄関を開けて、志音を引っ張るようにして、外よりは涼しい自室に入れる。
「あ~涼しい!外暑くてさ~」
最初のコメントを投稿しよう!