続・真夏の嵐

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部屋の窓を閉めて、エアコンの風量を強める。 志音の汗だくの姿を見て、飲み物と濡れタオルを用意した方がいいと思い立ち上がると、服の裾を引っ張られた。 「志音?」 「もうちょっといて。七瀬の顔を見たいから」 その言葉は志音にとっては何とも思わなくても、私には最高の殺し文句で、その場に屈んで志音に抱きついた。 「そんなに密着されたら、顔見れないんだけど♪」 「見なくていい!」 自分が自分でなくなるような浮遊感と、胸がいっぱいでまた涙が溢れてしまって、自分の気持ちが偽れないと思い知った。 私は…志音が好きだ…! 両肩をグッと志音が離したことで、涙を流し続けている不恰好な私の顔を志音に見られてしまう。 「また泣いた顔。いつになったら…本当の心からの笑顔がいつも見られるようになんのかなぁ?」 「そんな日は…遠い未来だよ!遠い遠い未来だ!」 「ふ~ん、じゃあ近い未来に変えてやるよ♪俺はあんまり気が長い方じゃないから。遠い未来なんて待ってらんないからね♪」 そう言って、ニッと不敵な笑った志音と、自然に磁石が引き合うようにキスをした。
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