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私も優くんくらいの時は何も怖くなくて、怖がることは恥ずかしいとさえ思っていた。
だけど、莎弥が亡くなった時、初めて失うことを怖いと心の底から感じた。
何をどう考えればいいのか、何をどうすればいいのかも分からなかった。
その経験があるからかもしれないが、今は志音をどんな形でも失うのが怖い。
一生一緒にいるワケではないけれど、それでも失いたくない。
今だけでもいいから一緒にいたいんだ。
「まぁ、奪いにくるならいつでもどうぞ?ただ傷を抉る結果にならなきゃいいけど♪」
「やっぱりお前は好きになれない」
「恋敵に好かれても嬉しくないから、好きになってくれなくて結構♪」
家に帰るという優くんを玄関で見送る今でも口喧嘩をする二人。
志音が本当に大人げないと少し呆れる。
でも二人とも楽しそうにも見えるな。
「優くん、志音のこと、これ以上は嫌いになれないだろうけど、好きにならないでね」
「何言ってるんですか!?こんな奴を好きになるなんて有り得ません!」
「今はそうかもしれないけど、これから先は価値観も変わることも多いから、志音を好きになるかもしれないでしょう?そうなったら優くんと争うかもしれない。だけど私も全力で相手をするよ」
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