始まり~現在

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嫌だけど、男だとバレるのはもっと嫌だ。 いくらウィッグを付けてもバレる時はバレる。 男と女では決定的に違うのが骨格と声だ。 声は女性特有の高い声が出ないし、悲鳴は男性的な悲鳴になる。 骨格は更に無理がある。 特に喉仏と手は気を付けないと、すぐにバレる恐れがある。 変態に認定されるからな…。 薄手の長袖のパーカーを羽織り、ウィッグの後ろ髪をパーカーから出して自然な感じになっているかチェックして、眼鏡タイプのサングラスをかけて、小さいバッグに貴重品とエチケット用品とリップを入れて、ヒールの高いサンダルを持って玄関に向かう。 この姿は両親に見られたくない。 見られたら死にたくなる。 今一番よかったと思うのは、自分の部屋が玄関のすぐ脇の階段を使って行けることだろうか。 リビングを通らなければいけないとかいう構造の家じゃなくて本当によかった。 「ちょっと志音と遊んでくる!夕飯は志音と食べるし遅くなると思うから寝てていいよ!」 「分かったわー!一応夕飯のおかずはラップして冷蔵庫に入れとくから、帰ってからお腹が空いてたら食べていいから!」 「ありがとう!行ってきまーす!」 急いでヒールの高いサンダルを履いて、玄関のドアを開けて外に出て、すぐに鍵をかけた。
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