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視界が暗くなり、身体が強く抱きしめられる。
「志音!?」
「また斜め上妄想してると思うんだけど、俺は七瀬がいるから笑えるし、立ち直れたんだよ。完璧に立ち直ったワケじゃないけど、前より余裕が持てるようになった。七瀬が俺の望みを無条件で叶えてくれるしね♪七瀬が俺を甘やかしてくれるから、笑えるのかもしれないけど」
そう言って笑った志音が泣いている気がして、私も志音を抱きしめ返す。
笑い声が自嘲気味で震えているなんて、それは笑い声じゃないぞ。
我慢する必要なんてないのに。
泣いていいんだ…。
志音の嗚咽が聞こえて、更に身体を強く抱きしめられて、心臓の鼓動を感じた。
それだけのことかもしれないが私も泣いた。
生きているから抱き合える。
生きているから笑えるし泣ける。
生きているから鼓動を感じる。
それが嬉しくて安心できることだった。
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