3人が本棚に入れています
本棚に追加
/102ページ
「助かった…!」
ほぅっと息をついて志音は、抱っこ紐と赤ん坊をベッドの上にそっと置いて、スーツを脱ぐと、赤ん坊を抱き上げて、背中をたまにぽんぽんと撫でてあやしている。
「その赤ん坊は隠し子か?お前には似てないな…」
「親戚の子供だって…。さっきの騒ぎ聞いてないの?」
「いや面白そうだから、からかっただけだ。悪い悪い」
「勘弁してくれよ…。歩いてるだけで変な目で見られるしさ…。何回かシングルファーザーに間違われるし…」
「その格好と赤ん坊に荷物では仕方がない。親戚はどうして子供の面倒が見られないんだ?」
「それが胃腸炎で病院に運ばれたんだよね。ウチにきていた時に、急に倒れちゃってさ。今、ウチの親と親戚の旦那さんが付き添ってるけど、そんなに大したことじゃないみたいだけど、大事を取って一週間だけ入院らしいんだよね…」
「そうか…大変だったな…」
急に倒れたのなら、それはパニックになっただろうな。
医療関係でもなければ、冷静に対処はできないだろうし、応急手当もままならないはずだ。
大事に至らずよかった。
「それで子供を預かったのか」
「旦那さんは仕事あるし、ウチは両親が共働きだし、親戚の実家も旦那さんの実家も遠くてさ、公共の交通機関は、これくらいの赤ちゃんだと無理かなって」
最初のコメントを投稿しよう!