新米パパと新米ママの七日間戦争!?~始まり~

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「ひっく…ひっく…」 志音が早苗ちゃんの背中をぽんぽんと優しく叩いてあやしていても、早苗ちゃんは志音の服がその部分はしわくちゃになりそうなくらいぎゅっと掴んでいる。 よほど怖かったのだろうか…。 私の困惑した瞳に気付いたのか、志音が軽く笑ってフォローしてくれた。 「赤ちゃんは掴む力が強いからね。痛いくらいの力だし。別に七っちが怖いとかじゃないから♪」 「そうか…。だが驚かせてしまったのは事実だからな。大きな声は出さないように気を付けよう」 「意図的はダメだけど、赤ちゃんはお腹の中にいる時から、外界の音に慣れるようにしてるって聞いたことあるな。赤ちゃんもある程度は分かるけど、やっぱりちょっとはビビるみたいよ」 何だか志音が遠くに感じる。 私の知っている志音とは違う気がして、少し寂しいような、自分がもどかしいような…。 普通なら、私も志音も女性と結婚して子供もできて、それぞれ家庭を持つ…それが当たり前の未来で当たり前の光景なのに。 それが分かっていても、志音が欲しくなる。 志音の身も心も、私だけを見ていてほしいとまで願ってしまう。 志音は客が全員帰った後で、焼香をして手を合わせた。
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