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赤ん坊があの雰囲気と空気では体調を崩すかもしれないという私と母の考えで、志音はしばらく私の部屋で早苗ちゃんの世話をしていたようだ。
莎弥の仏前で手を合わせている間は、母が早苗ちゃんを抱いていたが、莎弥を思い出したのか、未来の孫と重ねたのか、にこにこしてあやしている。
そんな母を見ると、志音と一緒にいる未来は諦めた方がいいのかとも思うが、志音に対する気持ちは簡単に消えない。
間違った関係で、もう『親友』にも『友人』にも戻れない道を選んだのは偶然でも成り行きでもなくて、私が決めた道で、志音はそれを頷いて肯定してくれた。
後悔はしていないが、現実は私の選んだ道を全否定してくるんだな…。
後悔はなくとも複雑な気持ちは拭えず、莎弥にも顔向けできなくて、目を写真と志音から逸らす。
こんなことで現実は変わらないのに。
「あ、そうだ。言い忘れてたけど、俺さ一週間ここに泊まらせてもらうから♪」
「は!?」
志音の能天気な声と言葉に、私は即座に視線を志音に戻す。
「迷惑かけないから♪早苗ちゃんの分も持ってきてるから大丈夫♪」
「そうじゃないだろう…!お前はよくても私達はよくな…」
「あら別にいいわよ?一週間以上いてもいいのに。可愛い赤ちゃんだもの」
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